わが家の苔(コケ)を紹介します! 初心者にもオススメできる3種です
こないだのポストで登場したわが家の室内栽培ケース。
その中で苔(コケ)について少々ふれたかと思うんですが(ふれてなかったかな? いや、ふれたよね)、今日はその苔について書きます。
苔と聞いてどんなイメージが浮かびますか?
暗くジメジメと湿ったイメージ?
それとも、京都のお寺の苔庭のような、落ち着いた侘び・寂びのイメージでしょうか?
昔の人は「転石苔むさず(A rolling stone gathers no moss.)」なんて言いました。
この諺の場合、苔はポジティブにもネガティブにも解釈されます。
園芸的には、先述の苔庭だったり、盆栽の根元に貼られていたり、テラリウムの素材としてだったり、、出番はままあるのですがあくまで添え物。
苔それ自体にフォーカスが当たる機会はそれほど多くありません。
逆に美観を損ねる厄介者とされることもしばしばで、観賞用に育てるってイメージはないかもしれませんね。
そんな苔ですが、よくよく見るとかなり美しい!
しかも、環境さえ整えてしまえば思いのほか育てやすい!!
というわけで、このポストではわたしが実際に育てている苔3種を紹介します。
コウヤノマンネングサ
まるで小さな木のような姿がユニークなコウヤノマンネングサ(Climacium japonicum)。
地下茎から5-10cmほどの茎を伸ばし、その先にヤシかソテツのように葉を茂らせます。
苔としてはかなり大型です。
ケープバブルなんかが好きな人はエリオスペルマムの付属器のように見えるかもしれませんね。
学名の通り日本原産の苔の一種で、漢字でかくと「高野の万年草」となります。
高野とは真言密教の聖地・高野山のことです。
うちではかれこれ6年ほどもっていますが、大きなトラブルはなし。
毎年2、3本の新茎を伸ばし、入れ替わるように古いものから順に枯れていきます。
一本の茎は2、3年生きます。
ただ、いまだに蒴(胞子をばら撒く器官。通常の植物の花に相当する)を見たことはありません。
もう少し大きな鉢で育てないといけないのかな?
そういえば、植え付け以来枯れ葉を切って取り除くだけで、今まで植え替えとかはしたことがないです。
地下茎がグルグルにまわって根鉢みたいになってるんでしょうか?
今度植え替えてみます。
ヒノキゴケ
まるで水草のような姿のヒノキゴケ(Pyrrhobryum dozyanum)。
別名はイタチノシッポ。
日本をはじめとした東アジア各地でみられる苔。
全長10cmほどの長さに成長します。
その別名の通りフサフサふわふわで、たまに用もなく触りたくなる毛並みが特徴です。
乾燥には弱めで、乾いてくると毛先が閉じてチリチリに。
我が家ではこのヒノキゴケが閉じてくると「そろそろ霧吹きしてやんなきゃな」という目安になっています。
(霧吹きするとチリチリの毛先がフワッと開き、その様子がまたかわいらしい😎)
苔のわりに成長は速く、群生するとこんもりとした林のようになります。
大きくなりすぎたり形が崩れてきたら、適当に切り戻したり株分けしたり。
時には赤褐色に枯れた葉を摘んでやったりと、忙しすぎない程度に手のかかるかわいい子です。
ホソバオキナゴケ
”The 苔”といった様相のホソバオキナゴケ(Leucobryum juniperoideum)
漢字で書くと「細葉翁苔」。
白髪のような細く白っぽい葉を密に茂らせ、マット状のコロニーをつくります。
園芸店などで「山苔」の名前で売られているのは、このホソバオキナゴケか、同属のアラハシラガゴケです。
下草として盆栽の根元に貼られたり、苔庭に使われたりします。
苔としては乾燥を好むタチ。
よって、わたしの多湿栽培ケースは先のヒノキゴケが好む湿度とこのホソバオキナゴケが好む湿度の中間あたりに落ち着きます。
とはいえどちらの苔も対応できる幅は広く、どちらか一方が好む環境に長くおいても他方が枯死するようなことはありません。
成長速度は遅く、気長に育てる必要があります。
長年育てたコロニーは饅頭のようにふっくらこんもりして面白いのですが、やりすぎると蒸れて調子を崩します。
その前に切り戻しましょう。
最後に、苔について学術的な側面からも触れておきます。
コケ植物(Bryophytes)は陸上植物(もしくは有胚植物とも、Embryophyta)のうちで最基部で分岐したとされる一群です。
つまり、水中で発生した原初の生物の中で光合成の能力を獲得した緑藻類の一部(ミカヅキモやアオミドロの先祖)が耐乾燥性のある表皮・クチクラ(cuticula、英語のキューティクルの語源)を持ち、陸上へ進出した最初の植物がコケ植物。
約4億7千年前のことといわれています。(化石が見つかっている)
植物はその後、リグニンで強化された維管束を獲得し(シダ植物)、木質化するようになり、胞子を種子に変え、美しい花を咲かす被子植物へと進化してきました。
この辺の詳しいお話はまた別の機会に。
進化の歴史からわかるように、コケ植物とその他の陸上植物を分けるポイントは維管束。
学校の理科で習ったとおり、根で吸った水分や養分を光合成するの葉へ送り届けるのが維管束の役割。
コケ植物に維管束がないということはつまり、苔は根ではなく葉や茎から水分を吸収しているということです。
湿気を好む理由がわかりましたね。
ちなみに、苔の根のように見える部分は仮根と呼ばれ、主に地面や岩、木の表面にしがみつく為に存在するとされています。
コケ植物はさらにツノゴケ類、タイ類、セン類に大別されます。
これらは単系統であり、タイ類、セン類が姉妹群である可能性が高いといわれています。
(ここらへんの分類は近年二転三転しており、定着にはまだ時間が必要なようです)
園芸的に鑑賞価値の高い苔のほとんどはセン類に分類されており、逆に美観を損ねると嫌われるジャゴケやゼニゴケはタイ類です。
自分はわりと植物の分類や進化の歴史など、栽培方法や見た目の美しさだけでじゃないアカデミックな方面へも興味がある方だと自認していました。
が、これまで苔に関しては学名や分類など、これまでほとんど気にしたことがなかったので今日の投稿は勉強になりました。
というわけで、わたしのお気に入りの苔3種でした。
ちなみに、こないだケース内を掃除した際、苔もトリミングしてしまったので今日の写真にはチョット不満が。。
また1年後くらいにまた再チャレンジしたいと思います。
ではでは。
コメント
コメントを投稿