秋の味覚! 自宅でできるキノコ狩りのススメ
”孤独なミドルが植物の成長に一喜一憂する、平々凡々ボタニカル・ライフを毎日お届け”を銘打つ、本ブログ。
そういう意味では、今日はちょっと邪道かな?
植物とは似て非なるもの。
近いような遠いような、、不思議な存在「キノコ」についてです!
こちらの動画、2年前にわたしが初めて発生させたキノコです。
ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)発生の3日間を、30秒にギュッと圧縮したタイムラプス動画になります。
キノコのニョキニョキ伸びる様子がおもしろいですね。
(なんでこのBGMつけたんだろ? 2年前の俺??)
キノコは菌類! 植物じゃない!!
上の動画のニョキニョキ伸びる様子をみると「いや、植物でしょ?」と言いたくなりますが、実際は菌類です。
キノコは胞子を作るために菌類が集まって生み出した巨大な構造物(子実体)で、葉緑体は持ちません。
その点で、藻類や植物とは区別されます。
ちなみに、子実体を作らない菌類は一般的にカビと呼ばれ、人と関わりの深いものではチーズ作りに使われるアオカビや味噌・醤油作りに使われるコウジカビなどが含まれます。
自然界での役割の点では、植物が光合成で二酸化炭素や水(無機物)から複雑な有機物を生成する生産者であるのに対し、菌類は植物や動物の排泄物・遺体(有機物)を分解して水や二酸化炭素などの低分子化合物へ戻す分解者の役割を担っています。
生態系をまわす、隠れたキーパーソンですね。
秋の味覚、ヒラタケ 子実体は温度や湿度、明るさなど環境によりいろんな形になる。この時の子実体は市販のエリンギに近い形になりました |
キノコの菌床栽培
まあ、その辺のややこい話はWikipediaとか農水省の参考サイトを見てもらうとして、ここではもう少し園芸的な、栽培の話をしたいと思います。
キノコの栽培というと、田舎のおじいちゃんが裏山でやってる原木栽培のような大掛かりなものを想像しがちですが、菌床栽培といってもう少し一般家庭向けの方法もあります。
わたしがやっているのは菌床栽培の方。
菌床栽培の手順① 種菌を手に入れよう!
種菌の入手方法は大きく2つ。
農家や趣味家向けに市販されている種菌(Amazonでも売ってます)を買うか、自分でキノコから採るか。
自分で採る場合は、なるべく新鮮なキノコ(山で採るのが一番だけど、スーパーで買ったものでも出来ます)から適当に、内部の組織を切りだせばそれが種菌になります。
わたしはこれまでヒラタケとエリンギ、シイタケ、ナメコ、ハナビラタケの栽培に挑戦したことがあります。
一番難易度が低いのはヒラタケとエリンギ。
ヒラタケとエリンギは近縁で、どちらもヒラタケ属(Pleurotus)のキノコです。
次はシイタケ。
ですが、ヒラタケと比べるとかなり難しいです。
ナメコとハナビラタケは何度かチャレンジしていますが、未だ成功したことはありません。。
ハナビラタケは形がおもしろくて味もいいので、ぜひ自宅で育ててみたいのですが。。
あと、いずれ機会があればヤマブシタケにもチャレンジしてみたい!
菌床栽培の手順② 培地を用意しよう
菌床栽培中のヒラタケ菌(Pleurotus ostreatus)菌糸 本日(2024年11月19日)撮影 |
菌を培養する下地を培地といいます。
科学の一般的なイメージでいくと、ガラスのシャーレや試験管に寒天の培地がメジャーですが、キノコ栽培の場合は0.5-2リットルくらいの耐熱容器にオガクズ。
オガクズが手に入らない時は、その他 植物質で貧栄養なもの。
わたしはコーヒー粕を使っています。耐熱容器はジャムの瓶。
容器はなるべく透明なものをお勧めします。菌が広がっていく様が見えておもしろいです。
コーヒー粕に適量の水(ギュッと握ると水が滴るくらい)を加え、容器に軽く詰めます。
それが出来たら、圧力鍋か電子レンジを使って培地を滅菌。最重要工程です。
菌床栽培の手順③ 培地に種菌を植える
せっかく滅菌した培地に雑菌が混入しないよう、細心の注意を払って植菌してください。
キノコ栽培は雑菌との闘いです。
雑菌は目には見えませんが、常にその辺に潜んでいます。
もちろん、植菌作業中の部屋の空気中にも、机やあなたの手にも!
先ほどヒラタケが一番易しいと言ったのは、ヒラタケ菌が1番強いから。
他のキノコ菌は雑菌にすぐにやられてしまいますが、ヒラタケ菌は結構持ち堪えます。
ヒラタケ菌はキノコ界最強の菌だと思います。
菌床栽培の手順④ 1〜3ヶ月ほど寝かす
植菌が終わったら、適温適湿の暗所で菌を培養します。
人も快適な20〜30℃くらいが適温です。
培地や種菌の量により時間は多少前後しますが、大体1〜3ヶ月ほどで菌糸が培地全体にまわります。
毎日少しずつ広がっていく菌糸は見ものです。
上の写真で「8-9割菌糸がまわったかなぁ」という状態になります。
なお、ものによりますが一般的にキノコの菌糸は上の写真のように白くて太いです。
それ以外の、例えば黄色かったり緑色だったり赤かったりするものはカビです。
そういうのが生えてきたら、残念ながら失敗。
滅菌か植菌に失敗して、雑菌が混入した可能性が高いです。
気力が残っていたら再挑戦しましょう。
菌床栽培の手順⑤ 発生を促す
菌が培地に満遍なくめぐり充実したら、発生処理を行います。
具体的には、培地の上部をスプーンなどで削り、しばらく冷水に浸した後、明るい場所に放置します。
森のキノコたちも切断や気候の急変、落雷などをきっかけに発生すると言われています。
発生処理から1週間後のヒラタケ菌 生命力を感じます |
菌床栽培の手順⑥ 原基が形成されて子実体が出てくるのを待つ
2年前、最初の動画のヒラタケです ここから3日ほどでニョキニョキ伸びます |
発生処理後は、削った箇所に保湿用のオガクズかコーヒー粕などを軽くかけて、寝かしていた環境よりも涼しく湿った環境で、日中は光を当てて待ちます。
キノコが生える時期(秋か春)の気温、10〜20℃くらいがいいでしょう。光は弱くて大丈夫。
発生処理から3週間ほどで収穫です🍄
菌のパワーを実感できるキノコってすごい!
以上、葉っぱとは似て非なるキノコのお話でした。
よくよく考えたら、カビにせよキノコにせよ元は目に見えないほど小さな菌ですからね。
それが分裂して成長して目に見えるほど大きくなるってスゴいことですよ。
しかも、キノコの場合はそれを直に食べられるわけですからね!
味噌や醤油、納豆、チーズ、ワイン、ビール、日本酒、ヨーグルト、甘酒、鰹節、パンなどなど、、菌が活躍する発酵食品は世界中にいーっぱいありますが、ヒトが菌そのものムシャムシャ食べるのはキノコくらいじゃないですかね?
そう思うと尚、面白いですね。
キノコ栽培、興味のある方は是非チャレンジしてみてください!
ちなみに、「オガクズもコーヒー粕もないよ!」って人や「滅菌とか植菌とかめんどくさいよ!」って人、「キノコ生えてくるとこだけ見れればいいや」って人には便利な栽培キットもあるらしいです。
ちなみにちなみに、わたしは子実体がノコノコ伸びるのも植物的で好きなんですが、それ以上に、培地を文字通り侵食していく様を見るのが堪らなく好きです。
だから上のキットも良いけど、ホントは自分で全部やってみてほしいです。
ではでは。
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